「定期報告」専門サイト 〜特殊建築物の定期調査と建築設備の定期検査へ

特殊建築物の所有者や管理者の皆様から比較的よくお受けするご質問をまとめましたので、ご参考頂ければ幸いです。特別区や特定行政庁が異なる場合については、お手数ですが、それぞれの行政庁にお問い合わせください。 >>>関連リンク

【制度全般に係る事項】

Q1 調査対象となる建築物や報告を行うべき時期は?

以下をご覧ください。
>>>「定期報告対象建築物・建築設備等及び報告時期一覧」
>>>「大阪建築防災センター」
 なお、判断に迷うことの多い用途、初回報告時期等については、各所轄特定行政庁へ直接ご連絡ください。

・初回報告時期(初回免除)の考え方 1特殊建築物等
新築・改築後は、2回目の当該建築物の用途・規模の特殊建築物等の定期調査報告時期から、報告が必要となります。
【特殊建築物等の「初回免除」の例】
(3年毎に報告が必要な共同住宅の例)

H17年度 H18年度
共同住宅
報告年次
H19年度 H20年度 H21年度
共同住宅
報告年次
H22年度 H23年度 H24年度
共同住宅
報告年次

(例1)H17年度中に工事完了の検査済証が交付された建築物
H18年度の報告が「直近の時期」となり免除となるため、H21年度より報告が必要
(例2)H18年度からH20年度までの間に検査済証が交付された建築物
H21年度の「直近の時期」となり免除となるため、H24年度より報告が必要
※したがって、竣工後の特殊建築物等で、最初に報告が必要となるまでの期間は、検査済証取得の時期により幅がありますのでご注意下さい。

Q2 「定期報告」には色々な種類があるのか?

建築基準法に基づく定期報告は、大別して以下の3種類があります。

(1)特殊建築物等定期調査報告
建物全体の劣化損傷、防災上の問題等について、幅広く調査することを目的としております。規模・用途により対象となる建築物が定められています(Q1参照下さい)

(2)建築設備定期検査報告
・換気設備(自然換気設備を除く)
・排煙設備(排煙機又は送風機を有するもの)
・非常用照明設備
・給水又は排水の配管設備(給水タンク等を設けるもの)について、個々の設備の性能・機能が維持保全されているか検査するものです。特殊建築物等の定期調査の対象となる建築物にこれらの設備が設置されている場合、報告対象となります。

(3)昇降機等定期検査報告
・エレベーター(労働安全衛生法の性能検査を受けているもの、ホームエレベータ等を除く)
・エスカレーター
・小荷物専用昇降機(テーブルタイプを除く)
・遊技施設等(乗用エレベーター、エスカレーターで観光用のものを含む)について、個々の昇降機等の性能・機能が維持保全されているか検査するものです。
特殊建築物等の定期報告対象規模・用途等に係わらず、上記昇降機等が設置されている場合、報告対象となります。

Q3 ビル管理法、消防法の届出・報告等とは違う制度なのか?

異なる制度です。建築基準法に基づく「定期調査・検査報告制度」との違いについてよくお問合せをいただく制度には以下のものがあります。

【ビル管理法に基づく特定建築物】
 ビル管理法(建築物における衛生的環境の確保に関する法律)では、「指定建築物」について、環境衛生上良好な状態を維持するために必要な措置をとることを求めています。具体的には空調管理、給水・給湯管理等について、測定、検査を行い、その結果を報告することが定められています。ビル管理法の詳細については、所轄の保健所にお問合せください。

【消防法】
 消防法では、「特定防火対象物」、「防火対象物」について、消防設備、警報設備、避難設備、非常電源について、点検を行いその結果を所轄消防署に報告することが定められています。消防法の詳細については、所轄の消防署にお問合せください。

Q4 費用もかかるが、定期報告をやる意味があるのか?

事故を未然に防ぐため、外壁・避難路など建築物の防災上の性能について、専門知識を持った人に定期的に見てもらう必要があります。万が一、建築に係る事故等が発生した場合、定期報告の有無及びその内容は重要な参考資料となることも予想されます。
また、指摘を踏まえた計画的な修繕・維持管理を行うことは、長期的に見ると維持保全費用を抑えることにも繋がります。
>>>罰則規定
>>>過去の事件

Q5 どの法令に基づく制度か、また、報告を行わない場合に罰則はあるのか?

建築基準法第12条に定められており、報告を怠ることは法令違反となります。またその場合、建築基準法101条により、100万円以下の罰金が課せられることがあります。

Q6 定期調査・検査報告が必要な建築物の管理者に対しては、報告の必要となる時期の前に案内書が送付されてくるのか?

以前に報告をいただいている場合、定期調査・検査報告の受付団体から、準備に必要な期間を考慮した時期に、御案内を差し上げています。しかし、これまで報告をいただいていない場合、お知らせできない場合もあります。  そうした場合は、各建築物の管轄である、市役所や区役所にご連絡頂きますと、郵送やFaxなどで早急に対応してもらえるようです。

Q7 案内が送られてこないので、報告義務がないと考えてよいか?

いいえ、そうではありません。法12条では、所有者又は管理者(所有者と管理者が異なるときは管理者。以下、「所有者等」という。)に報告義務が課せられていますので、特定行政庁等からの「案内の有無」は、「報告義務の有無」とは無関係です。  しかしながら、事前にご案内をお送りすることで、所有者等の方に出来るだけスムーズに報告いただけるようにしたいと思いますので、お手数ですが、Q6に記載したように建築物等の情報をお知らせいただけるように、お願い致します。

【調査者・検査者、管理者について】

Q8 建築物特殊建築物等の調査資格者を紹介してもらえないか?

調査資格者を探すには、以下の方法が一般的です。

1.管理会社に相談する。
2.建物の設計・工事を行った建設会社等に相談する。
3.各都道府県の建築・防災まちづくりセンターで公開している「講習会修了登録者名簿」を参考にする。

(建物の所有者・管理者が資格者を探す際の参考にしていただくために、「各都道府県特殊建築物等定期調査報告実務講習会」を受講した資格者のうち、名簿登載を希望する者をリスト化したものです。)
なお、調査者の資格要件については、下記の調査・検査の資格者をご覧ください。

    調査・検査対象
資格
特殊建築物等
建築設備
昇降機/遊戯施設
1・2級建築士
建築基準適合判定資格者
特殊建築物等調査資格者 × ×
建築設備検査資格者 × ×
昇降機検査資格者 × ×

Q9 建築設備の検査資格者を紹介してもらえないか?

基本的に各都道府県が紹介を行うという形はとっておりません。検査資格者を探すには、以下の方法が一般的です。

1.管理会社に相談する。
2.建物の設計・工事を行った建設会社等に相談する。
3.一般財団法人 日本建築設備・昇降機センターに問い合わせをする。

(建築設備の定期検査報告の受付団体である上記のセンターで、検査者の紹介を行っています。)

なお、検査者の資格要件については、下記をご覧ください。

    調査・検査対象
資格
特殊建築物等
建築設備
昇降機/遊戯施設
1・2級建築士
建築基準適合判定資格者
特殊建築物等調査資格者 × ×
建築設備検査資格者 × ×
昇降機検査資格者 × ×

Q10 管理者とは誰を指すのか?

法的に明確な規定はありません。
しかしながら、“当該建築物の維持管理、長期修繕計画等に対して、金銭面を含め、主体的に関与しているもの”が、法でいう「管理者」であると考えています。
 よく窓口でお答えしている具体例には、以下のようなものがあります。

(1)単に、清掃、設備の日常的なメンテナンス等のみの委託を受けている管理会社等は定期報告制度上の「管理者」には該当しません。
(2)共同住宅等が区分所有されている場合、原則として区分所有者からなる管理組合が管理者(代表者としては、同組合の理事長)となります。
(3)大型建築物、証券化された建築物等、管理の権限が数社で分かれている場合でも、(定期報告する建築物の部分について)全体を統括する管理者として、どの方が最も適切なのか、内部で協議の上、報告する管理者を決めてください。

【建築物の所有者等の変更、除却等に係ること】

Q11 建物を取り壊したのでもう関係ないのではないか?

その建築物のある市役所・区役所に「建築物除却・使用休止届」の提出が必要です。

Q12 建物を売却した(または管理者が変わった)のでもう関係ないのではないか?

その建築物のある市役所・区役所に「建築物等の所有者等変更届」の提出が必要です。

【調査・検査方法等に係ること】

Q13 特殊建築物等の調査内容は国交省告示のとおりか?

国土交通省告示で規定する「調査項目」、「調査方法」、「判断基準」に、各都道府県が独自の安全条例の内容等を付加し、各県毎に告示を行っています。

Q14 建築設備の調査内容は国交省告示のとおりか?

国土交通省告示で規定する「調査項目」、「調査方法」、「判断基準」に、各都道府県が各都道府県の建築安全条例の内容等を付加し、一部、独自に告示を行っています。
 例えば、東京都建築安全条例の内容の付加とは、地下道に設ける換気・排煙・非常用の照明設備・非常用の排水設備に関することです。
 詳細については各都道府県にお問い合わせください。尚、建築基準法施行規則第6条第1項の規定に基づき、国土交通大臣が定める検査の項目については、3年に1度の検査が必要です。

Q15 調査、検査の方法等について講習会等は行っていないのか?

特殊建築物等、建築設備、昇降機等それぞれについて、以下のとおり各受付団体が関東関西問わず、毎年実務講習を行っています。直近の法改正内容、調査・検査方法の注意点等についての講習になりますので、是非ご参加ください(有償)。

【特殊建築物等】
講習時期 : 毎年2月頃
受付時期 : 毎年1月頃
主  催 : 公益財団法人 東京都防災・建築まちづくりセンター
電  話 : 03-5466-2001

【建築設備】
講習時期 : 毎年10〜11月頃
受付時期 : 毎年6〜7月頃
主  催 : 一般財団法人 日本建築設備・昇降機センター
電  話 : 03-3591-2422

【昇降機】
講習時期 : 毎年10〜11月頃
受付時期 : 毎年6〜7月頃
主  催 : 一般財団法人 日本建築設備・昇降機センター
電  話 : 03-3591-2423

Q16 特殊建築物等の定期調査報告の方法等を記載したテキストやパンフレットはないのか?

日本建築防災協会が国交省告示を踏まえて「特殊建築物等定期調査業務基準」を発行していますので、そちらをご参照ください。

Q17 建築設備の定期調査報告の方法等を記載したテキストはないのか?

一般財団法人 日本建築設備・昇降機センターが国交省告示を踏まえて「建築設備定期検査業務基準書」を発行していますので、そちらをご参照ください。

Q18 昇降機等の定期調査報告の方法等を記載したテキストはないのか?

一般財団法人 日本建築設備・昇降機センターが国交省告示を踏まえて「昇降機・遊戯施設定期検査業務基準書」を発行していますので、そちらをご参照してください。